伊勢型紙を彫ってみよう(彫り方編)
初心者の方が趣味として伊勢型紙を始める際、デザインナイフを使う引き彫り(伝統的な技法の縞彫りではなく、刃先を単純に引いて彫るという意味です。)か、丸キリを使う錐彫りをされる場合が多いと思います。
(他の技法:突き彫り、道具彫りなどは入門には難しいので。)
ここでは、簡単ですが、引き彫り・錐彫りについてご説明します。
- 直線・曲線は小刀(こがたな)・デザインナイフ等で切り抜きます。
- 小さな丸は、その大きさにあった丸キリ(丸錐)と呼ぶ道具を使います。
1.引き彫り (小刀彫り)
- 小刀(またはデザインナイフ・カッター等)を利き手に持ち、空いた手は、型紙を押さえます。
- 小刀を自分の方に引きながら、型紙の黒い部分(図案入り型紙を使用の場合。)を切り取っていきます。
- 図柄が切り易くなるような位置に、型紙を移動(回転等)させながら切って行きます。
- 切り抜いた不要の部分(黒い部分)は、刃先で軽く突き刺して取り上げ、捨てます。
注意点
- 適切な力(ちから)加減で切る。(紙が完全に切り取れてなかったり、逆に力をかけすぎて下敷きまで切ってしまわないよう、紙だけを切り取るつもりで。)
- 小刀を前後(進行方向)に傾けるのは、構いません。
- 真っ直ぐで彫りやすい線 ⇒ 小刀は、寝かし気味に
- 細い線・曲がった線 ⇒ 小刀は、立て気味に
- 小刀を左右には傾けないように。
- 時には手首を固定して彫り、時には指先で回転させながら彫るなど、彫る形によって、上手く彫るコツをつかむようにしましょう。
2.錐彫り
趣味で彫る場合、丸キリ(丸錐)と呼ぶ道具を使います。(職人さんは半錐という半円のものを使いますが、最近は丸キリを使うこともあります。)
使用方法について下記で(2通り)ご説明します。重複している部分もありますがご了承ください。
丸キリの基本的な使用方法
【右利きの方の場合】
- 型紙の下にビニールマット(下敷き)を敷きます。
- 両方の腕について、肘または前腕部を机に付けて安定するようにします。
- 右手の親指・人差し指・中指で丸キリを支え、型紙に対して垂直に立てます。
- 右手の薬指と小指は型紙に付けて、ズレないように固定します。
- 左手は柄の先端をつまむように持ちます。
- 左手の親指と人差し指(または中指)で丸キリを時計回りに回しながら、下向きに力を加えて型紙を彫り抜きます。
- 丸キリの径の小さいもの程刃先が細いので、力加減に注意してください。
注意点
- 繊細な刃ですので、押し抜きをしたり荒っぽい使い方をすると、刃先がかけてしまうことがあるので注意が必要です。
- 伊勢型紙の型地紙(渋紙)以外の紙に使用した場合、切りにくい紙質のものなどは刃先を傷めやすいので、ご使用を避けてください。
- 刃が錆びないように、時折、油を染ませた紙を丸キリで切って、少量の油分を刃先内部に行き渡らせます。
- 丸キリの刃が切れにくくなった時は、(職人さんは)軽く研ぐこともあります。
手に頬を当てる彫り方
- 利き手で刃先に近い柄(え)の部分を持ち、彫る位置に導きます。
- 反対の手は、親指が柄の端を押すようにして柄全体を握ります。この時、錐が垂直になるように気をつけます 。
- 写真のように、手に頬を当て、荷重をかけ、同時に錐を少し回転させて切るように彫り抜きます。(注意)頬を当てずに彫る場合(人)もありますので、一例としてご参考にしてください。
- 押して抜くのではなく、刃を回転させることによって切る感覚です。
- 力の入れ加減によって、同じ丸キリを使っても穴の大きさが変わってくるので、同じ力で彫るようにしましょう。
彫り上がったら・・・
- 彫り上がったら、額に入れたりして飾りましょう。
四季おりおりの作品を色紙立てに入れ、玄関や床の間に飾ってください。
- (柄によっては)彫った型紙を使って、図柄を紙に刷る事もできます。
- こんな風にしても楽しめます↓。 (いろいろ工夫してみてください。)
1.彫り上がり
2.こんな台紙を作って
3.重ねて
4.できあがりです。
額に入れて飾りましょう。
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