比較のため上に置いているのは、「黒」漆を塗ったケヤキのお椀です。素地は1000番以上のサンドペーパーでつるつるに磨いておき、拭き漆で3回ほど塗りました。
素地が平滑なため、表面にできる黒漆の層は薄く、下の木地が透けて見えています。
お椀の下のものがスピーカーボックス(上面・側面)なのですが、これは「黒」ではなく、「透き」漆をプラスチックのヘラを用いて2回塗りました。
黒漆かと思うほど、黒く仕上がっています。
(あくまでも推測ですが)黒く仕上がった原因は、
1.事情(*)があり、スピーカーボックス(木質系ボード)の表面がかなりザラザラしている状態で、ヘラを使って塗ったため、漆がボードのへこみやボード自体に浸み込み、漆の付着量(層)が大きくなった。(*古いスピーカーで、元は表面にシルバーの粘着シートが張ってありました。そのシートを無理やり剥がし、露出した木質系ボードの表面を整えずそのまま塗ったためです。)
2.台風接近時の雨天だったため、湿度が高く、かなり早く漆が乾いた(固まった)ため。乾燥時間が短いと、漆は黒っぽくなるようです。(かぶれにくい漆について:補足とQ&Aでも少し言及しています。)
どのような素材なのか、ご参考までにスピーカーボックスの裏面の写真です。
漆が浸み込みやすい素材だと思います。
←スピーカーボックスは一見すると真っ黒ですが、良く見ると部分的に焦げ茶色になっています。
塗布後およそ2週間後ですが、これから時間の経過とともに色が薄くなるのではないかと思っています。
もう一点。これは透き漆を拭き漆で塗ったお椀ですが、底の一部は塗布前にサンドペーパーをかけなかったため、ザラザラの状態に塗った透き漆は黒っぽくなっています。
このように、塗り方・素材の状態により、黒漆でも透明感がある仕上がりになったり、逆に透き漆が黒っぽく仕上がることがあります。
素材の状態が平滑でなく漆を吸収する可能性が少しでもある場合は、もし下地を透けるように仕上げたいならば、まずは透き漆で試してみるほうが無難ではないかと思います。
※黒漆を使って、文字通り真っ黒に仕上がったサンプルが現在ございません。参考画像として必要とは思いましたが、ご容赦ください。
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お問い合わせは、お問い合せページでお願いします。***かぶれにくい漆について、と付け加えください。(柿渋や伊勢型紙の事と混同しないためにです。)